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冬季一時金闘争報告 -会社はさらなる努力を!-
今年の冬季一時金は、昨年同期と比べて、約30%増額していますが、同業他社と比べるとまだ相当低額です。
労評トール労組は、この点についての会社の認識を問いただしました。
会社もトールの一時金が、同業他社の世間相場と比べれば、まだ相当低いことを認めました。
その上で「世間相場に近づけるために経営努力をする」と回答しました。
昨年10月から取引先に荷物の運賃値上げ交渉をしてきたが、今年度になってその成果が現れてきており、その成果を労働者に回して、昨年実績より増額したということです。
日本の道路貨物輸送は、運賃値下げ競争という過当競争の中で、トラック運転手に対する残業代の不払など低賃金の犠牲を強いることで成り立ってきました。
交通運輸で働く労働者は、この「犠牲」を自らの手で断ち切らなければなりません。
まずトールにおいて、この闘いを、労評トール労組と共に進めていくことを呼びかけます。
未払残業代請求裁判報告 -証人尋問が行われる-
去る10月15日、裁判の最大の山場である証人尋問が大阪地裁で行われました。
原告である労評トール広島分会の組合員2名、被告会社側から1名の証人尋問がありました。
裁判は、この間の双方の主張をまとめた最終準備書面と呼ばれている書面を、今年中に提出し、おそらく判決は、来年の2月頃になると思われます。
今後、判決に向けて、裁判で会社が主張してきたことが、トールの実態とかけ離れた主張であるかを、連続して報告していきたいと思います。
例えば、
【会社の主張】
・集配労働者の努力や工夫で賃金対象額を増加させることができる。
・したがって、残業せず、あるいは少ない残業で多くの賃金対象額を稼ぐように努力や工夫をすれば、多大な能率手当を得ることができる。
・能率手当が、少ないのは、努力や工夫が足りないからだ、またチンタラ仕事をしているからだというような主張をしています。
【原告の主張】
・配達先や集荷先は、会社が決めるのであって、また配達量も集荷量も顧客先の事情によって決まるのであって、集配員の努力や工夫で増加さすことはできないと主張しています。
・また集荷する限り、残業にならざるを得ないと主張しています。
配達時間帯に追われ集荷時間帯に追われ、まともに昼休憩さえ取ることもできない仕事量を与えられて働いている集配員にとって会社の主張がいかにデタラメであるかは分かると思います。
今後連続して、裁判での被告会社の主張を暴いていきます!
現行の賃金規定、「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」は、絶対に変えさせるようにしていかなければなりません。
そのために、裁判での証人尋問を中心にして、今後、シリーズとして、トールの裁判報告を行っていきます。
この度、日本労働評議会(労評)高知県本のブログを開設しました。
http://rouhyokochi.blog.shinobi.jp/
ブログでは、労働問題に関する情報や高知県本の活動について記事を載せていきます。
また、高知県を中心に労働相談にも対応しています。
お気軽にご連絡ください。
連絡先
日本労働評議会(労評)高知県本部
メール:sikoku2012@orange.plala.or.jp
ストライキ闘争への会社の弾圧を暴く
来る11月19日(月)午後1時30分~午後6時30分、トールエクスプレスジャパン労組(トール分会)に対する会社の不当労働行為を問う証人尋問が行われます。組合は広島分会から2名の組合役員、会社側からは本社の総務担当と広島支店支店長が証人に立ちます。19日当日は傍聴席を埋め尽くして、当該組合員と支援に駆けつけた組合員が一体となって、会社の不当労働行為を立証していきます。
昨年11月労評トール労組は東京中央分会と広島分会で一斉に部分ストライキに入りました。組合は、自分の担当エリアを終えて帰っても、居残りをさせられ、実質的に残業代がまともに支払われない残業を拒否するという部分ストライキを行いました。しかし、会社は全国の支店長を動員して、組合員のみに8時間を過ぎたら帰れと命じ、残っている仕事を動員した支店長にやらせるなど、歩合給で仕事をしている組合員の賃金をカットするための弾圧をしてきました。定時で帰ったら賃金が4万、5万多い組合員は10万近く減ってしまいます。明らかに経済弾圧(兵糧攻め)でもって組合のストライキ闘争を弾圧してきたのです。
今回のトールエクスプレスジャパンの組合弾圧は露骨なものであり、不当労働行為性は明らかです。会社側は当日どのような言い訳をしてくるのか、見ものです。
トール残業代裁判と合わせて来年は闘いの成果が表れます
組合はトールエクスプレスジャパンを相手に原告約10人で残業代請求の訴訟を行っています。去る10月15日に証人尋問が行われ、来年春には判決が下ります。歩合給でありながら、その中に残業代が含まれているという会社の主張はとても認められないでしょう。国際自動車の裁判にも近い内容を含んでいますが、労働者が残業をしながら、正しく支払われないという賃金制度は必ずなくさなければなりません。
私達は御用組合が会社と結託して、まともな経済要求闘争をしないなかで、敢然と労働者の要求を取り上げて闘っています。今後も、トールエクスプレスジャパンのためにも、運輸労働者全体の利益のためにも、裁判で良い結果を出していきたいと思います。
9月4日、クリーニング業界の問題改善に取り組んでいるNPO法人クリーニング・カスタマーズサポートの鈴木和幸理事長を招き、クリーニング業界の問題の仕組みについて講演をしていただきました。
講演について
現在のクリーニング業界には多くの消費者問題、労働問題が存在しています。しかし、それらの問題が改善されて行くよりも、問題が増えていく、改悪が広まっていくのが現状です。
現在なぜ、こんな悪循環の状態になっているのでしょうか?
それについて、日本のクリーニング業の歴史から紐解いて説明を頂きました。
クリーニングは昔、労働者というよりも“職人”(男性)の仕事として、丁稚奉公(でっちぼうこう)のような形である程度1つの場所で修行し独立していくのが主流だったそうです。
そこから、生産性の高い洗濯機の登場によって業界に大手業者が登場し、価格競争が始まりました。大手業者では職人ではなく労働者が雇用され、今のようなクリーニング労働者の大半は女性・非正規雇用という状態ができあがってきました。ですがそういった中で「クリーニング業界に労働者はいない」として扱われ、クリーニング業界の労働問題は長年スポットが当てられてきませんでした。それにより、現在の問題は増えていくが改善されないという悪循環を引き起こしてします。
そしてその価格競争の中で、「消費者問題」と「労働問題」が多発してきました。
例えば、
・住宅街での石油溶剤使用(建築基準法違反)問題
2009年、あるクリーニング工場において禁止溶剤使用の疑いがあるという記事が報道されました。建築基準法にて住宅地等での使用を禁止されている引火性の石油系溶剤を使用しクリーニングを行っていたという問題です。それは「疑い」ではなく実際に違法であると判断され、しかもさらにショックなことに、当時、同様の禁止溶剤使用はクリーニング店・恒常の半数を超える1万5000カ所でも行われていました。
最近の記事では、8年前に建築基準法違反で行政指導を受けた店・工場のうち、違法状態を解消したのは2割にとどまるという非常に残念な報道もあったそうです。
・保管クリーニング問題
これは、昨年秋に新聞などで報道された問題です。保管クリーニングとは、インターネットを使って集めた衣類を洗い、一定期間保管してから指定日に宅配するサービスです。宅配サービスが遅れることがあったようですが、この背景には、預かった衣類を長期間洗わないことが常態化していることがあったそうです。
・クレーム対応問題
クリーニング店では、お客さんと直接やり取りをする店員さんが、お客さんからのクレームの大半も受けています。
本来、お客さんから受けたクレームは「会社として受けたクレーム」ですから、パートの店員では対処できない問題は、正社員、マネージャー等の管理職、あるいは経営者が対応するというのは、どんな業界でもごく普通のことです。クリーニング業界自体、クレームが多い業界と言われていますし、店員さんは工場で洗う作業をしていなく専門知識もない(必須とされていない)わけですから、会社としてクレーム対応をしなければならないのは、なおさらです。
しかし現実は、クレーム対応を店員に丸投げにしている会社が多いそうで、NPOに寄せられる店員さんの悩みとしても、「クレームを会社が対応してくれない」などクレーム対応に関するものが多いそうです。
・労働基準法違反の問題
クリーニング業界では労務管理に関するコンプライアンスはかなり低く、残業代未払い、雇用契約書がない、有給が取れない等の労働基準法違反の問題は多発しています。
働き方改革により来年から有給休暇の義務化も始まりますが、クリーニング業界はそもそもこれまで従業員の多数を占めるパート従業員へ有給を付与すらしていない業者が多数あるそうです。来年以降、業界で大問題になる可能性が高いです。
こうした問題は低価格競争の下でなんとか稼ぎを得ようとして引き起こされた問題です。これらはクリーニング業界全体で共通した問題ではありますが、いずれの問題点にせよ、しわ寄せを受けて、洗濯を急ぐため労働時間が増えたり、品質が低下する、お客さんからのクレームが増えるなど、負担を負うのは労働者です。
こういったクリーニング業界の問題改善について、消費者の保護、クリーニング業運営の健全化、クリーニング労働者の保護を目指し、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートでは取り組まれています。NPOとしていかに問題改善に取り組んでいるか、また、今後、どのような取り組みが重要かなども講演いただきました。
参加者からの声
講演会の参加者からは
「洗っていないクリーニングや、建築基準法違反が今でも全然改善されていないなんて衝撃だ」
「私もお客さんからのクレームを自分で何とかしろ、と言われて悩んでいる。会社がクレームを丸投げするのはおかしい」
「クリーニングで働いている人がなんでこんな苦しまなくてはいけないのか、よく分かった」
「現場のパートにしわ寄せがきているのはおかしい」
などの感想が寄せられました。
クリーニング業界で働く従業員であれば、一度は、シフトの休みが取れない、休憩が取れない、クレーム処理をさせられたなどに直面したことがあり、業界で共通した問題で悩んでいるんだと共通認識が作られました。
労評としても、クリーニング業界で働く労働者の処遇改善のためには、労働組合が必要であると改めて実感する機会となりました。
有給取得をはじめ労働基準法等の労働者を守る法律を会社にきちんと守らせることも、クレーム問題を店員に丸投げにさせないことも、そしてそういった具体的問題を1つ1つ改善してお客様のためにクリーニング労働者として誇りを持って働くためことも、労働組合でしか実現できません。
労評では、労評クリーニング労組を主軸にして、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートとの連携も強化しながら、こういった講演会や労働相談などを継続的に開催する中でクリーニング労働者と団結し、クリーニング業界全体の改革に取り組みます!