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東京に本社を置く「ロイヤルリムジン株式会社」が、グループ企業の事業を休止し全社員600名を一斉に退職させると発表したことが、コロナ禍による労働者の解雇として衝撃をもって受け止められています。
同社の金子健作社長は、解雇した労働者に「運行を続けると、皆さんの平均賃金が著しく低下する。
一日も早く退職することで、平均賃金が大きく下がる前に失業給付を受けて欲しい。」と説明していました。
しかし、会社は解雇通告をしておきながら、解雇予告手当を支払いたくないために、「『退職同意書』に署名しないと離職票を出さない。」と労働者の困窮に付け込み、労働者の真意に基づかずに「退職同意書」を集めました。
現時点では、会社は労働者の抗議に屈し、「退職同意書の撤回」を認めると言っていますが、それは、マスコミに大きく報道されたことにより自分の真意が伝わらなかったからだと責任を転嫁しています。
雇用を維持する努力を一切せず、労働者には事前に話し合いもせず、朝出勤したらいきなり「明日から事業を休止することにしたから来なくてよい。」というのは「解雇」以外の何物でもありません。
ロイヤルリムジングループ各社は、企業としての社会的公共性を放棄し、休業手当の手続きによって雇用を維持するという努力を全くせずに、雇用保険という税金で労働者の賃金を補填させればよいという、極めて無責任な企業です。
代表者は企業経営をする資格がありません。
日本労働評議会は、当組合に加盟したロイヤルリムジングループの労働者と共に、ロイヤルリムジングループ各社に対し、労働者の権利を守るため、休業手当として賃金全額を要求して闘っています。
この賃金100%という要求は、コロナ禍における雇用調整助成金の支給金額からいっても決して不可能な金額ではありません。
コロナ禍による営業収入の減少は、ロイヤルリムジンだけではなく、他のタクシー・ハイヤー各社においても「賃金減少による深刻な生活不安」と「感染の危険にさらされる不安」を招いています。
日本交通の新人ドライバーからは、「1年間、支払いが約束されていた保障給が、会社により勝手に『無期限の凍結』とされ、困っています。約束が違うし、生活ができません。」という相談が入っています。
また、龍生自動車では、事業の停止を理由に労働者が全員解雇されました。
日本労働評議会では、広くタクシー業界全体で働く労働者の方からの、コロナ禍における急激な賃金減少、その他労働条件の悪化、労働環境の保全についてご相談を受け付けます。
コロナ禍における緊急労働相談は、今後、ロイヤルリムジンのように解雇問題としてあらわれてくることが予測されます。
この度、日本労働評議会(労評)高知県本のブログを開設しました。
http://rouhyokochi.blog.shinobi.jp/
ブログでは、労働問題に関する情報や高知県本の活動について記事を載せていきます。
また、高知県を中心に労働相談にも対応しています。
お気軽にご連絡ください。
連絡先
日本労働評議会(労評)高知県本部
メール:sikoku2012@orange.plala.or.jp
9月4日、クリーニング業界の問題改善に取り組んでいるNPO法人クリーニング・カスタマーズサポートの鈴木和幸理事長を招き、クリーニング業界の問題の仕組みについて講演をしていただきました。
講演について
現在のクリーニング業界には多くの消費者問題、労働問題が存在しています。しかし、それらの問題が改善されて行くよりも、問題が増えていく、改悪が広まっていくのが現状です。
現在なぜ、こんな悪循環の状態になっているのでしょうか?
それについて、日本のクリーニング業の歴史から紐解いて説明を頂きました。
クリーニングは昔、労働者というよりも“職人”(男性)の仕事として、丁稚奉公(でっちぼうこう)のような形である程度1つの場所で修行し独立していくのが主流だったそうです。
そこから、生産性の高い洗濯機の登場によって業界に大手業者が登場し、価格競争が始まりました。大手業者では職人ではなく労働者が雇用され、今のようなクリーニング労働者の大半は女性・非正規雇用という状態ができあがってきました。ですがそういった中で「クリーニング業界に労働者はいない」として扱われ、クリーニング業界の労働問題は長年スポットが当てられてきませんでした。それにより、現在の問題は増えていくが改善されないという悪循環を引き起こしてします。
そしてその価格競争の中で、「消費者問題」と「労働問題」が多発してきました。
例えば、
・住宅街での石油溶剤使用(建築基準法違反)問題
2009年、あるクリーニング工場において禁止溶剤使用の疑いがあるという記事が報道されました。建築基準法にて住宅地等での使用を禁止されている引火性の石油系溶剤を使用しクリーニングを行っていたという問題です。それは「疑い」ではなく実際に違法であると判断され、しかもさらにショックなことに、当時、同様の禁止溶剤使用はクリーニング店・恒常の半数を超える1万5000カ所でも行われていました。
最近の記事では、8年前に建築基準法違反で行政指導を受けた店・工場のうち、違法状態を解消したのは2割にとどまるという非常に残念な報道もあったそうです。
・保管クリーニング問題
これは、昨年秋に新聞などで報道された問題です。保管クリーニングとは、インターネットを使って集めた衣類を洗い、一定期間保管してから指定日に宅配するサービスです。宅配サービスが遅れることがあったようですが、この背景には、預かった衣類を長期間洗わないことが常態化していることがあったそうです。
・クレーム対応問題
クリーニング店では、お客さんと直接やり取りをする店員さんが、お客さんからのクレームの大半も受けています。
本来、お客さんから受けたクレームは「会社として受けたクレーム」ですから、パートの店員では対処できない問題は、正社員、マネージャー等の管理職、あるいは経営者が対応するというのは、どんな業界でもごく普通のことです。クリーニング業界自体、クレームが多い業界と言われていますし、店員さんは工場で洗う作業をしていなく専門知識もない(必須とされていない)わけですから、会社としてクレーム対応をしなければならないのは、なおさらです。
しかし現実は、クレーム対応を店員に丸投げにしている会社が多いそうで、NPOに寄せられる店員さんの悩みとしても、「クレームを会社が対応してくれない」などクレーム対応に関するものが多いそうです。
・労働基準法違反の問題
クリーニング業界では労務管理に関するコンプライアンスはかなり低く、残業代未払い、雇用契約書がない、有給が取れない等の労働基準法違反の問題は多発しています。
働き方改革により来年から有給休暇の義務化も始まりますが、クリーニング業界はそもそもこれまで従業員の多数を占めるパート従業員へ有給を付与すらしていない業者が多数あるそうです。来年以降、業界で大問題になる可能性が高いです。
こうした問題は低価格競争の下でなんとか稼ぎを得ようとして引き起こされた問題です。これらはクリーニング業界全体で共通した問題ではありますが、いずれの問題点にせよ、しわ寄せを受けて、洗濯を急ぐため労働時間が増えたり、品質が低下する、お客さんからのクレームが増えるなど、負担を負うのは労働者です。
こういったクリーニング業界の問題改善について、消費者の保護、クリーニング業運営の健全化、クリーニング労働者の保護を目指し、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートでは取り組まれています。NPOとしていかに問題改善に取り組んでいるか、また、今後、どのような取り組みが重要かなども講演いただきました。
参加者からの声
講演会の参加者からは
「洗っていないクリーニングや、建築基準法違反が今でも全然改善されていないなんて衝撃だ」
「私もお客さんからのクレームを自分で何とかしろ、と言われて悩んでいる。会社がクレームを丸投げするのはおかしい」
「クリーニングで働いている人がなんでこんな苦しまなくてはいけないのか、よく分かった」
「現場のパートにしわ寄せがきているのはおかしい」
などの感想が寄せられました。
クリーニング業界で働く従業員であれば、一度は、シフトの休みが取れない、休憩が取れない、クレーム処理をさせられたなどに直面したことがあり、業界で共通した問題で悩んでいるんだと共通認識が作られました。
労評としても、クリーニング業界で働く労働者の処遇改善のためには、労働組合が必要であると改めて実感する機会となりました。
有給取得をはじめ労働基準法等の労働者を守る法律を会社にきちんと守らせることも、クレーム問題を店員に丸投げにさせないことも、そしてそういった具体的問題を1つ1つ改善してお客様のためにクリーニング労働者として誇りを持って働くためことも、労働組合でしか実現できません。
労評では、労評クリーニング労組を主軸にして、NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートとの連携も強化しながら、こういった講演会や労働相談などを継続的に開催する中でクリーニング労働者と団結し、クリーニング業界全体の改革に取り組みます!