「アート引越センター」で知られるアートコーポレーション㈱で働いていた元正社員の労働者が、1か月間働いた給与が「-1000円」という賃金明細書を受け取りました。
支店長に理由を聞いても、明確な説明はありません。
これはおかしいだろうと思い、労評に相談、加盟後にTwitterで2017年4月給与支給明細書をアップしたところ、大きな反響を呼んでいます。
給与支給明細書では、月20日間フルタイムで働いたのに本給5万3600円、諸手当を含めても7万6070円と記載されています。一方、労働時間が230.75時間、残業時間が76.25時間なので、所定労働時間は154.5時間となり、時給に換算すると493円/時という最低賃金以下の低賃金となります。
また、社会保険料が正しく考慮されているかというところも疑問が残ります。
労評で本人に事情を聞いても、なぜこのような給与になるのか分からないと言っています。
労評組合員3人による残業代等未払請求訴訟提訴以降、アートコーポレーションでは多くのおかしな事実が明らかにされていますが、この1か月の給与が「―1000円」問題もその一つです。
労評としては、アートコーポレーションに対してはっきりと説明するように求め、改善すべきところを改善するように追及していきます。
労評は、ただお金を取ること、会社に打撃を与えることが目的ではありません。
アートコーポレーションを健全な会社に改善していくことが目的です。
労働者と経営者が対等な立場でお互いを尊重し合い、真剣な態度で節度を持って労資交渉を行い、協力して会社の発展と労働者の生活の安定・発展を目指すことが目的です。
そのためには、おかしいところはおかしいとはっきりと会社に言える労働組合、アート労働者の意見をまとめ利益を代表する労働組合が無ければまともな交渉ができません。
日本労働評議会は、アートコーポレーションで働く労働者の皆さん、全国のまじめに働く労働者の皆さんと共に、健全な労働環境を作るために闘います。
【電話】022-272-5644
【専用メール】rouhyomiyagi@yahoo.co.jp
分会長の不当解雇の裁判について、7月28日に下された組合側の主張を全面的に認める勝訴判決が出ましたが、会社側は敗訴を認めず、争いの場は高等裁判所へ移行となりました。
何度やろうと勝敗は明らか それを認められない会社側
組合側からは録音した音声と反訳書を証拠として提出し、分会長への解雇通知の際に社長や会社役員が「組合活動はやめなさい。そうでなければ、あと1か月で解雇する」、「組合を辞めるか、会社を辞めるか、どっちかの選択だっていってるんだよ」、「組合を辞めるか、会社を辞めるか、二つに一つ。っていうこと」、「何で組合辞めらんないの?」、「組合辞めて、あとで今日から働け」と発言したことを立証しています。
これは、裁判所からも事実と認められています。地裁の判決文では「本件解雇は,原告が組合に所属して組合活動を行っていることを理由としたものといわざるをえないところ,不当労働行為性を判断するまでもなく,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当なものとは認められないから,解雇権の濫用として無効である。」と判断しています。
そうして言い逃れできない状況ですが、会社側は、分会長が労働組合に所属して組合活動を行ったことを理由にした解雇ではないんだと主張を続けています。しかし未だにそれを立証するための証拠はろくに提出しておらず、裁判を長期化させ、社内の労働者の不安をあおっています。裁判所も、会社が主張する解雇事由については、事実として認めるに足りる証拠はない、と判断しています。
労評は1人の労働者の解雇も許さない
労評は「1人の労働者の解雇も許さない」と掲げています。とくに今回の件は労働組合を作ったことを理由にした懲戒解雇ですから、労働組合としてそんな不当解雇は絶対に認めません。会社側は自らの失態も責任転換して分会長の解雇理由に上げており、こんな不条理に対して妥協はあり得ません。労評は道理を通して徹底的に争い、控訴でも受けて立ち、必ず勝訴します。そして分会長は職場復帰を果たし、職場改善に取り組んでいきます。
2017年10月11日、アートコーポレーション(株)横浜都筑支店に務めていた元社員3名が、未払残業代の支払い、引越事故賠償金の返還、加盟していない労働組合費の天引き分の返還等を求めて横浜地裁に提訴しました。
3名の訴額は、376万円余ですが、引越事故賠償金返還については、今後会社から資料を提出させた上でさらに請求を拡大する予定です。
原告3名が労評に加盟したきっかけは、「残業代がどうも少ない。会社が操作しているのではないか?」と疑いを持ち、ビラを配っていた労評員に相談をしたことが始まりでした。
労評で事情を聞いてみると、残業代の不正操作以外にも様々な違法行為が行われている実態が明らかになり、3名が労評に加入し、アート資本と団体交渉を行うことにしました。
団体交渉は3回に渡って行われました。アート資本は、未払残業代については、残業時間の改ざんを行っていたことを認めた上で、「別の手当に付け替えて支払っているので、基本的に未払いはない。」と回答してきました。
また、引越事故賠償金については、「会社が決めた制度通りに運用がなされていなかったので、返還するが、会社が顧客に弁償した分については、別途賠償金を請求する。」「引越事故賠償金の返還請求は、労働債権なので2年分までしか返還しない。」と回答してきました。
まず、未払残業代については、「別の手当に付け替えて支払っているので、基本的に未払いはない。」との回答でしたが、会社が提出した資料の始業・終業時間に基づいて計算しても、会社が主張する業務時間よりも1日当たり20分~数時間程度多い時間働いていたことがわかりました。つまり、1日当たりの労働時間を少なくして賃金計算をしていたことになります。
この時間の差については、なぜそのような計算になるのかを訴訟の場で明らかにしていきます。
次に、アート(株)の引越事故損害賠償請求については、大きな問題があります。
第1に、使用者は、業務の通常の課程で生じた損害については、労働者に対して損害賠償を請求できないとするのが判例実務上の取り扱いです。
例えば、ファミレスでアルバイトする学生が、コップ1個、お皿1枚を割ったとしても、弁償しろとはいわれないのが通常の会社です。
それは、業務の通常の過程で生じる損害は、経営上の費用として計上するのが当たり前だからです。
そしてこの原則からすると、「業務の通常の課程で生じた損害」よりも大きな損害が生じたとしても、全額を労働者に負担させることはできず、労働者の過失の程度や労働環境、使用者側の配慮の程度等が総合的に勘案されて、かなりの程度労働者に請求できる賠償額が制限されます。
ところが、アート(株)では、36協定で決められた残業時間の上限が、1ヶ月195時間を年2回、1ヶ月110時間を年4回、年間で1100時間(平成26年度、27年度)という過労死ラインを遙かに超える異常な長時間残業が労使間で決められていました。
さらに現実には、原告3名の年間残業時間は、各自1250時間を超えており、36協定に違反するような過酷な長時間労働が日常化していました。
原告のAさんが語った当時の状況では、「忙しい時期ではなくても朝7時から仕事を始め、夜は9時、10時までかかるのが当り前。繁忙期には午前2時、3時まで仕事をして、寝る時間がない。子どもと遊ぶことも出来ず、妻からは“辞めてくれ”と言われた。体もキツイ」と過酷な労働実態が日常化していました。
このような労基法に違反する異常な長時間残業を強いておきながら、引越作業で物を破損すると1件あたり3万円の限度で賠償金を徴収することは絶対に認められません。
第2に、アート(株)の引越事故損害賠償請求では、「リーダー」に責任があることを確認しないまま、顧客から引越事故のクレームがありアート(株)が顧客に損害賠償金を支払うと、賠償金を徴収されていました。
つまり、法律的には、原告らが損害賠償をアート(株)にする必要がない場合にまで、事実上強制的に賠償金を支払わされていたという事です。
アート(株)では、その場合、業務リスクの負担を全て労働者に追わせて、自分が支払うべき賠償金相当額の負担を組織的に免れていた訳です。
第3に、アート(株)では、原告ら労働者へ引越事故損害賠償金の請求を、「引越事故責任賠償制度」という社内で規定した制度に基づいて行っていました。
ところがその制度の規程によると、「引越事故に関し、リーダの責任と権限を明確にする」、「当該引越作業のリーダーに責任がある場合に限り、リーダーは・・・・損害賠償を一定の限度で負担する」とされているにもかかわらず、リーダーに本当に責任があるのかどうか、リーダーが賠償責任を負うような故意・過失がある引越事故なのかを問うことなく、責任賠償金を支払わされていました。さらに、事故処理手続きとして、「事故報告書」を作成し、「リーダーは責任賠償金の支払いに同意するときは、『事故報告書』に、自己の責任を認めて責任賠償金を支払う旨を記載し、署名、捺印の上、会社に提出する。」ことになっていました。
しかし、実際には、アート(株)にはそのような「事故報告書」は存在せず、この手続きが欠けていました。
つまり、アート(株)では、自社が定めたルールを無視して、原告ら労働者に「引越事故責任賠償」金を支払わせていたのです。これは明らかに無効な損害賠償金の徴収です。
第4に、「責任賠償金の支払い方法」は、アート(株)の「引越事故責任賠償制度」の規定上は、「その都度現金で支払うものとする」のが原則で、例外として「本人の申出により給料からの天引き」により清算する場合には、「引越事故責任賠償金・天引き依頼書」を作成し、人事総務課に提出するものとされています。
原告らが勤務していた横浜都築支店では、「引越事故積立金」なる名目で、1日当り500円を月の給与から天引きして、強制的に徴収していました。これはもちろん賃金全額払いの原則(労基法24条1項本文)に違反する違法な取り扱いです。
アート(株)で行われている引越事故の損害賠償請求は、アート(株)だけの問題ではなく、引越業界全体で広く行われています。労働者に帰責性があるか否かをに関係なくい、一定額を損害賠償として徴収するなど、民法の判例実務が築き上げてきた使用者の労働者に対する損害賠償求償権の制限を無視するとんでもない暴挙です。
労働者の労働により利益を上げておきながら、リスクは労働者に負担させようという厚かましさを許しておくことはできません。
労評では「無料相談」を行っています。
些細なことでも大丈夫です。 ぜひ一度、ご相談ください。
「アート引越センター」で知られる引越し業界大手のアートコーポレーション株式会社に対し、横浜都筑支店に務めていた元社員3名が、未払い残業代、給料から天引きされた引っ越し事故の賠償金、天引き同意のない組合費の返還を求めて横浜地裁に提訴しました。
今回原告となった元従業員の3人は、長時間労働が横行し、しかも残業代の誤魔化す、作業中に破損等の事故が発生すればすべて自己責任で給料から天引きされるなど、これらのことが普通の環境だと思って入社から懸命に働いてきました。
しかし、そんな労働環境では当然働き続けることはできず退職するに至りましたが、退職後にやはり職場に残った仲間のため、アートの改革に立ち上がりました。
この間、会社と3回団体交渉を重ねてきましたが、会社から誠実な回答が得られず今回の提訴に至りました。
昨日は、提訴後に記者会見も行い、各メディアで報道されました。
提訴の詳細や、昨日の様子などは、追って報告いたします。
労評では今回の提訴をきっかけにアート引越センターでの健全な労働環境を目指して取り組んでいきます。
賠償金の天引きはありませんか? 残業代は払われていますか? 勝手に組合費を天引きされていませんか?
過去の分も不当なものは取り戻せるかもしれません。些細なことでも大丈夫です。ぜひ一度ご相談ください。
これまでの裁判の経緯
北上京だんご本舗分会では、昨年2月22日の分会公然化の後、会社側が分会長の不当解雇等を行ったため、以下の2つの法廷闘争を闘ってきました。
①宮城県労働委員会での不当労働行為救済申立事件
分会長の不当解雇(不利益取扱い)や団体交渉拒否などについて、昨年4月13日に申立をしました。現在は結審して、命令が出るのを待つ状況にあります。
②仙台地裁での労働審判
分会長の不当解雇に対して、労評顧問弁護士の指宿弁護士、中井弁護士を代理人とし、昨年6月22日に労働審判を申立しました。
こちらは昨年11月に、分会長の懲戒解雇を無効とする組合側全面勝利で決着し、分会長は北上京だんご本舗において労働契約上の権利を有する地位にあることが確認されました。
このうちの②の労働審判の後、北上京だんご本舗の経営者側が異議申し立てを行ったため、これまで仙台地裁にて裁判で争ってきました。
組合側の完全勝利の判決が下る
そして本日7月28日、仙台地裁にて組合側の完全勝利の判決が下りました。
裁判所は、労働契約法16条「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,又は社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして無効になる」に照らし合わせて、
「被告は,原告に対して,本件解雇を通知するに際し,原告が労評に所属して組合活動を行っていることを問題にした上,原告に対し,本件解雇を回避する条件として,労評を脱退し,組合活動への参加を中止することを繰り返し要求したものであり,被告は,原告に対し,組合活動の中止及び労評からの脱退と本件解雇の二者択一を執拗に迫ったものであるから,本件解雇は,原告が組合に所属して組合活動を行っていることを理由としたものといわざるをえないところ,不当労働行為性を判断するまでもなく,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当なものとは認められないから,解雇権の濫用として無効である。」
と判断しました。
分会長は職場復帰後に何を目指すか
勝訴判決の確定後、分会長は職場復帰して職場改善を目指していきます。
分会長は元々、自分個人の抱えている問題を個人的に解決するために労評分会を結成したわけではありません。
北上京だんご本舗は過去に全国推奨観光土産品審査会において厚生労働大臣賞を受賞し、「ずんだ」を仙台の名物として全国に広めたという功績があります。その一方で、会社内部には労働基準法違反等の問題が多々あります。分会長は、そんな職場で長年働いてきた中で、「これからの若い世代の方のために、会社を持続・発展させるために、労働者全員が協力して気持ちよく働ける環境にしていくため、このまま歳を取るわけにはいかない」、「会社商品は人気があり売れているのに社内に問題があるから会社が発展しないというのはもったいない、どうにかしたい」という思いから組合を立ち上げました。その思いの実現に向けて、分会長は職場復帰したら、労働者と力を合わせて、すぐさま本格的な職場改善に取り組んでいきます!