先日、ファミレスで食事をした時のことです。
夕食時で混雑しており、お客さんが何組も待っている状態でした。店内ではスタッフが忙しく動き回っているのが見えました。しばらく待って通された席は、テーブルが十分に拭けていなく汚れが残っている状態でした。
人によってはこれに対して、スタッフの質が悪いと思ってクレームを入れる人もいると思います。
でも、そういう時ちょっと考えてみてほしいなと思います。
なぜ拭き残しがあったのでしょうか?
このファミレスでは、スタッフが一生懸命動き回って仕事をしているのは見えていましたし、かなり忙しそうな状況にも関わらず笑顔で対応してくれて、お客さんのためにと頑張っているのが伝わってきました。
でも、そうやって頑張っているのだけれども、テーブルに吹き残しがありました。
そのとき、ふと店内を見渡してみると、忙しい夕食時なのに、ホールにはスタッフが1人か2人しかいないことに気付きました。
となると、テーブルの拭き残しはスタッフの手抜きが原因というわけではなく、ホールスタッフが足りていない中で、列を作って待っているお客を早く席に通さなくてはとせかされて、テーブルの汚れをうっかり見落としてしまったんじゃないかと思いました。
もし本当にそうだとしたら、クレームの原因はスタッフの仕事の質ではなく、このファミレスの経営者が必要なスタッフの人数を確保していないことが問題です。
どんな業界でもそうだと思いますが、普通なら足りるわけのない人員配置の中で、スタッフの必死の努力で無理やり回しているお店や施設などはたくさんあると思います。私の職場もそうです。
サービスの質に問題があればお客さんからクレームを受けるというのは最もな話です。でも、人手不足の職場で必死に頑張っている中で、お客さんから直接クレームをぶつけられるのは、ひたすらツライです。
このとき私は自分にできることとして、席に着いた時はテーブルを自分で拭いて、席を立つ時もテーブルを自分で拭いて、お礼を言ってお店を出ました。
でも思い返してみると、本当にやるべきだったことは、
まず、なぜ拭き残しがあったののか、なぜホールスタッフが少ないのかをスタッフに聞いて、拭き残しの発生してしまった原因を知って、
そのうえで、スタッフが手抜きだったことが原因であればスタッフに対してクレームを言い、そうではなく経営者側が人員を減らしてスタッフを酷使しているのであれば経営者に対してクレームを言うべきだったと思います。
次に同じような場面に遭遇したら、スタッフの人とそんな話をしようと思います。
私たちは、お客さんとスタッフという関係の前に、労働者と労働者という関係です。
そこから考えれば、お客さんという立場から一方的にクレームをただ言うだけではなく、同じ労働者という立場から相手の苦労を感じ取りつつ、問題改善に向けて考え合い、仕事の質向上に向けて建設的な筋道を見つけることができるはずだと思います。
労評宮城県本では、随時、労働相談を受け付けています
・相談無料・秘密厳守で行っています
・相談受付:電話、メールどちらでもOKです
(不在により電話が通じない場合もございます。その際はお手数ですがメールまたはもう一度お電話をお願いします)
・相談場所:基本的は宮城県本部の事務所で行っています
時間・場所を調整し、相談者の方のご都合に合わせて出張相談も行っています
・相談人数:1人でも、複数人でも、相談受け付けています
・労評には顧問弁護士がいます 指宿昭一弁護士、中井雅人弁護士(暁法律事務所)
労評宮城県本部事務所 連絡先
住所 仙台市青葉区梅田町1-63 第5白鳥ビル201
メール rouhyomiyagi@yahoo.co.jp
電話・FAX 022-272-5644
相談事例紹介
例えば、これまで、
「サービス残業がある。どうにかならないかな」
「退職しようと思ったんだけど、会社が辞めさせてくれない」
「退職するんだけど、有給消化や、残業代未払いの請求をやって退職したい」
「パートで、次回の契約更新で雇止めになりそう」
「うちの会社はこんなところあるんですが、コレって法律違反ですか?」
などの相談を受け付けています。
退職・解雇・雇止めや、残業代未払いに関する相談が中でも多いです。
労働相談の進め方
どのような相談内容であっても、基本的な労働相談の進め方としては、
まずは、相談者の方と職場の悩み、問題点を共有していき、
次に、労評側にて問題が法律違反かどうかなど整理をして、
問題点に対してどのような解決策があるかなど提示させていただきます。
そこから、解決に向かう上で労評が一緒に取り組む際は、労評に組合加盟していただきます。
問題解決の実績
労評宮城県本部に組合加盟していもらい、一緒に問題解決に取り組んだ案件としては、下記のような実績があります。
・サービス残業をなくした
約200人の従業員全員の残業代未払い(過去2年間分)を会社に支払わせた。
サービス残業をなくし、労働基準法に則って1分単位で支払う管理体制に改善させた。
・様々な労働基準法違反の改善
サービス残業がある、給料遅配がある、有給が付与されない、雇用契約書がない、健康診断がない、不当な長時間残業がある、労使協定が不正に締結される、同僚からのパワハラがあるなど労働基準法等の法律違反の改善をしています。
・不当な懲戒解雇から職場復帰を果たした
会社から不当な懲戒解雇を受けた組合員は、労評顧問弁護士の指宿弁護士、中井弁護士が代理人になって裁判等で争い勝訴して、職場復帰を果たしています。
・労働者の意思で退職できた
会社が「次の従業員が見つかるまで退職は認めない」「有給消化はできない」と退職できなかった職場にて半年以上退職できずにいた労働者は、組合によって、法律や、就業規則に基づき有給消化して退職できました。
北上京だんご分会の分会長の不当解雇については、先日に記事を載せました中労委とは別に裁判も行っていましたが、4月20日付で最高裁から「本件を上告審として受理しない」という調書が届きました。これにより仙台地裁及び仙台高裁の解雇無効判決が確定し、組合側の完全勝訴で決着がつきました。
「上告審として受理しない」ということはつまり、最高裁から門前払いをくらったということです。これは当然の結果です。なぜなら会社側は、
社長「俺は、分会長は実績があるから会社に残ってほしいが、その代わり組合活動はやめなさい。そうでなければ、あと1か月で解雇する」
元取締役「組合を辞めるか、会社を辞めるか、どっちかの選択だっていってるんだよ」
と発言しているように、組合活動を理由にした不当解雇だからです。労働組合の結成や組合活動を理由にした解雇は、不当解雇です!
解雇無効の判決で完全に決着がつきましたので、労評と北上京だんご分会長は、改めて会社の職場改善に乗り出します!
労評北上京だんご分会は、
「高品質のだんごを作って、お客さんに提供できる会社に変えて行こう!」
1、組織の中身のない会社を作り変えよう
2、安心して長く働ける職場に変えよう
3、法律違反を改めさせよう
をスローガンに掲げ、北上京だんご本舗で働く労働者全員が、ずんだもちを日本全国に広めた会社の労働者として自信と誇りを持って働ける職場への改善を目指します!
どんな職場にだって労働組合は作れる!
労評は、1人からでも加盟できる合同労組(ユニオン)です。宮城あるいは東北各県からの労働相談をお待ちしています。
北上京だんごのように、職場の問題を改善して行くには、労働者1人ではやはり難しいものです。だからこそ労働組合はどんな職場にも必要ですし、また、どんな職場にだって労働組合を作ることができます!
今回の北上京だんごの分会長の不当解雇のように、労働組合に加盟をしたこと、労働組合の活動をしたことを理由にした解雇、あるいは減給、パワハラ、配置転換など何らかの不利益を与える行為はすべて違法行為です!
北上京だんごのように、不当解雇を行ってくる経営者も中にはいますが、労働組合の団結の力があればそれを押し返すことができます。労働者の生活を守ることも、お客さんのためにより良い職場環境をつくることも、その先につながっています。
北上京だんご分会において、組合加盟・組合活動を理由にした分会長の不当解雇等に関する宮城県労働委員会における不当労働行為救済申立事件は、労評側の主張がほぼ完全に認められる形で命令が下されました。
会社がそれに対して、中央労働委員会に異議申立を行ったため、3月13日、東京の中央労働委員会にて第1回目の調査が行われました。
会社側の異議申立の内容を見ると、会社側が「争点だ」と主張している内容は主に以下の通りです
①労評は法適合組合ではない
②労評は北上京だんごと団体交渉権を持たない
③労評のビラは労働組合法で許可される範囲を超えているビラだ
しかし、
①について
仮に「労評は法適合組合ではない」のだとしたら、労評の行った申立に対して宮城県労働委員会は命令を下しませんでした。
②について
会社側は合同労組(ユニオン)について未だに理解していないのか、あるいは、「合同労組は労働組合ではない」という持論でしかないです。
③について
すでに宮城県労働委員会にて「正当な組合活動の範囲内で行われたと認められる」と判断されています。そこでもし会社側に反論があるのならば、ビラのどこが、どのように問題あるのかを具体的に反論する必要がありますが、その具体がありません。
北上京だんごの職場改革に向けて、分会長の職場復帰を目指す
会社側が主張する「争点」はこのように中身がなく、中央労働委員会における争いも、進めて行けば宮城県労働委員会と同様に、労評の主張を全面的に認めるような結果が出ると思います。
そもそも社長や元取締役が
「組合活動はやめなさい。そうでなければ、あと1か月で解雇する」
「組合を辞めるか、会社を辞めるか、どっちかの選択だっていってるんだよ」
「組合を辞めるか、会社を辞めるか、二つに一つ。っていうこと」
と発言しています。会社側もこう言った発言をしたと認めています。組合を理由にした不当解雇だということはすでに明白です!
次回の中央労働委員会の期日は5月29日です
平成29年12月27日 命令書交付
1.事件の概要
本件は,組合が,ビラ配布,ブログの掲載等の組合活動を行ったことについて,会社が,組合員Aに対して組合活動をやめなければ解雇する旨の発言をしたこと,組合に対してビラ配布の中止を求める発言をしたこと,団体交渉の申入れ並びに団体交渉議事録及び合意書の作成に応じなかったこと,組合員Aを解雇したことが,労働組合法第7条第1号,第2号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして,救済申立てが行われた事件である。
2.命令主文の要旨
(1)会社は,組合から申入れがあった団体交渉に誠実に応じ,団体交渉に関する議事録及び合意書の作成に向けて誠実に対応しなければならない。
(2)会社は,解雇を示唆するなどの威嚇的な言動によって,組合が行うインターネット上への情報掲載等の正当な組合活動に支配介入してはならない。
(3)会社は,組合員Aに対する解雇がなかったものとして取り扱い,同人を原職に復帰させるとともに,同人に対して,解雇がなければ原職に復帰させるまでの間に得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
(4)会社は,本命令書写し交付の日から7日以内に,不当労働行為と認定された行為を繰り返さない旨を記載した文書を組合に交付するとともに,同一内容の文書をA3の白紙に記載し,会社従業員の見やすい場所に7日間掲示しなければならない。
(5)組合のその余の申立てを棄却する。
3.判断の要旨
(1)営業会議及び団体交渉等における会社の発言について
会社が,組合員Aに対して,営業会議で行った発言は,解雇を示唆しつつ,正当な理由がなく,組合がインターネット上に掲載した情報の削除を一方的に強要したものであり,支配介入に該当する。また,会社が,組合に対して行った同旨の発言も,支配介入に該当する。
会社が,組合に対して,組合ビラの配布の中止を求めた発言は,団体交渉における率直な意見表明に過ぎず,組合ビラの配布の中止を強要したとまでは認められないこと等から,支配介入に該当するとまでは認められない。
(2)団体交渉議事録及び合意書の作成並びに団体交渉の申入れに応じなかったことについて
会社が,団体交渉議事録及び合意書の作成に応じなかったことは,会社の主張に正当な理由があるとは認められず,誠実に対応しようとする姿勢もうかがわれないことから,労働組合法第7条第2号に該当する。
団体交渉の申入れに対して,会社が応じなかったことは,正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
(3)組合活動をやめなければ解雇する旨の発言について
会社が,組合員Aに対して,組合活動をやめなければ1か月後に解雇する旨を述べたことは,正当な理由がなく,正当な組合活動の中止を強要するものであり,支配介入に該当する。
(4)組合員Aを解雇したことについて
組合員Aの解雇は,正当な理由がなく行われたものであり,かつ,会社に強い組合嫌悪の情が認められることから,組合員Aが組合員であることを理由として行われたといわざるを得ず,不利益取扱いに該当する。
宮城に労働運動をつくる!
さらに、宮城県労委のこちらのページによると、
平成29年で取り扱った不当労働行為救済申立事件は2件だそうです。
つまり、
①労評北上京だんご本舗分会
②労評奥羽木工所分会
の2件です。
平成29年、宮城県労働委員会で扱った不当労の案件は、労評だけでした。
労働組合活動を進めていく上で労働委員会を活用するというのは当たり前のことです。
それなのに2件しかない、労評の案件しかないということは、
それだけ宮城に労働運動が存在しないということです。
それはつまり、
宮城の労働者の権利と利益はほとんど守られていないということです。
労評宮城県本部はより一層、宮城に労働運動をつくり、
労働者の権利と利益を守るため闘います!